「風邪」の時の湿度の大切さ

冬場、私たちが最も良く罹る疾病の一つに「風邪」があります。風邪はその症状がさまざまで、治療による根治は難しいとされています。風邪はさまざまな細菌や病原菌に感染した際の総合的な症状です。「風邪が治る」際には、人の体が本来持つ免疫力を高め、体に侵入している細菌やウイルスを自然援治癒力で駆逐できたということになります。

風邪といえば冬場が「シーズン」ですが、やはりその理由は体の抵抗力、免疫力にあります。寒さによってそれらの力が落ちている際に、私たちは風邪にかかりやすくなります。春や秋、そして夏でも風をひく場合もありますが、やはりシーズンは冬になるでしょう。「寒いと風をひく」ということは古来から広く言われていることです。

風邪は誰でもひくものですし、民間療法なども古くから各地でさまざまなものが広がっています。それらのすべてが効果があるのかどうかはさておいて、もっとも人に知られた疾病であることは間違いありません。その症状の程度も軽微なものから深刻なものまでさまざまで、少し風邪をひいたくらいでは学校や仕事を休まなかったり、薬によって症状を抑えてそのまま普段通りの活動を続けたりするものです。「生まれてから一度も風邪をひいたことがない」というような人もいたりしますが、少なくとも普通に暮らしていても誰もが一度は風邪を患ったことはあるのではないでしょうか。

日本の風邪は「風土病」とも言えるべき性質を持っています。風邪はさまざまな細菌やウイルスに感染することで起こる総合的な症状であり、人によってそのタイプはさまざまになるのですが、統計的に「今年の風はお腹を下しやすい」などの特徴をもっていることが多いです。

それはその時流行している細菌やウイルスがあるからで、それらに感染する人が多くいるからです。そして、冬の時期というのはそれらの細菌やウイルスが繁殖しやすく、また人から人に伝播しやすい状態でもあります。それが日本の冬特有の「乾燥」という状態です。乾燥すると、細菌やウイルスが感染しやすくなるのです。そのため、通年存在する細菌やウイルスが感染しやすくなり、また寒さによって人の抵抗力、免疫力も低下するため、「風邪」という形で感染の症状が見られることになります。風邪は「季節」、そして「気候」がもたらす感染症なのです。

風邪を患った際、体力が低下しているためそれを補うための栄養を補給し、また細菌やウイルスを撃退するために体温が上昇しますから、それを支えるためにも体を暖かくする必要があります。加えて言われるのは部屋の「湿度を上げる」ということです。これは患者にとっては咽頭部の粘膜機能を弱らせないためでもありますし、周囲の人にとっては二次感染を防ぐという意味も持っています。咳やくしゃみによって空気中に放たれた細菌やウイルスが、空気中の水分に衝突して早く床に落ちるのを促進するためだとも言われています。乾燥状態ではウイルスや細菌を遮るものがないため、空気中にただよう時間が長くなってしまうからです。

風邪の際に湿度を上げるのは、咽頭部の粘膜を保護してさらなる感染を防ぐと共に、看病してくれている人や家族に感染させないためでもあるのです。

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