霧と湿度の違い

空気中の水分は通常目で見ることはできません。それは空気と同じように透明なものです。ですが、流れる液体ではなく大気に存在する水分の形としては他にも形があります。それは「雲」や「霧」といった状態です。空を流れる雲は、空気に溶け込んでいない水分の集まりなのです。霧はそれが地表で再現されたようなものです。

霧が出ている状態は、この上なく空気が潤っている状態といえます。「液体」としての水分が細かい粒子となって空気を漂っています。通常であれば蒸発して空気に溶け込むところですが、空気が飲み込める以上に発生してしまっているということです。それらは細かい粒子であるために、空気中を漂います。それは目に見えることはできますが、コップにすくい上げたりすることはできません。ですが、長く触れ合っていると自分の体の上で凝固し、結びつき、体をしっとりと濡らす存在になってしまいます。

いわゆる「湿度」として呼ばれる空気に含まれた水分はそのようなことはありません。水蒸気として蒸発しているからです。蒸発した水分は「気体」です。霧や雲として存在している水分は「液体」です。その状態の差が、霧と湿度の圧倒的な違いです。私たちが冬場に求めているのは、霧ではなく、気体として空気と混じり合った水蒸気としての水分になります。

霧が出る状態の大気は必要以上に潤っているといえます。ですから、体感上「乾燥しているな」と感じるようなことはないはずです。また、そのような日は「加湿」する意味もあまりありません。十分すぎるほどに空気が潤っているからです。霧は十分に暖かい空気が地表で一気に冷やされることなどで生じる自然現象です。原理は結露と同じで、冷やされた空気が一気に水分を放出してしまったため、液体として集結して何かに付着する間もなく一気に水分が搾り出されてしまったのです。これが局所的でなにかに接していれば、本来は「結露」として生じるはずなのですが、空気全体が一気に同様のことを起こすため、何かに付着する間もなかったということです。

ですから、霧を発生させる空気はそもそもが含むことができる水分量を飽和しています。ですが、温度を上げれば再び含むことの出来る水分量は増すことになります。ですから、あまりにも寒い状態の霧は、空気は「乾燥」していることになります。ただ、それいじょう水分を含むことができないので、「飽和」しています。

空気と水分の関係は自然界のさまざまな局面でさまざまな現象を発生させます。私たちが「美しい」と感じる雲も、その原理から生み出されたものです。冷やされた空気は水分を含めないということは自然の摂理であり、歪めることはできません。ですから、私たちが人工的に空気に湿度を与えたい場合も、その摂理に則る必要があるのです。そうしなければいつまでも潤いを得ることはできないでしょう。空気を暖めないと、加湿は不可能なのです。それはどんな加湿器を用いても同じことです。この地球上で暮らしていく限り、変えることのできない法則です。それに従いながら、また利用しながら、いかに便利に快適に暮らしていくかということが、私たちがもっている永遠の課題なのです。

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