「濡れタオル」はどうなのか

乾燥を防ぐ「知恵」として、「加湿器」を用いない方法も旧来から数多く存在しています。その中には「誰でも出来る」ような内容のものもあります。それが「濡れタオル」を用いた方法です。これはもっとも簡単でどの家庭でも誰でも行える、乾燥対策の方法です。

これは濡れたタオルを「肌に当てる」というような方法ではありません。水に濡らし、絞ったタオルを室内に「干す」のです。干したタオルはやがて乾いていきます。「乾く」ということは、水分が空気中に「蒸散」していくことです。蒸散した水分はそのまま空気中に拡散し、留まることになります。それが「湿度」の源です。「湿度」とは空気中にどれだけ水分を含んでいるのか、ということです。つまり、湿度を上げるためには、空気中に水分を放てばいいということになります。その方法としてもっともシンプルなものが、この濡れタオル法になります。

「水」は摂氏100度で「沸騰」すると教わったものです。沸騰とは「液体が気体に変質する」ということです。そのような原理を教わってしまった私たちは、なんとなく「沸騰させた水蒸気でなければ空気中に飛散しない」と考えてしまいがちです。ですが、少し考えてみればそれは違うことがわかるはずです。濡れた道路が「乾く」のはなぜか、洗って濡れた髪の毛が「乾く」のはなぜか、干した洗濯物が「乾く」のはなぜかを考えてみればわかるのではないでしょうか。

水分は自然に蒸発するのです。そして、空気が含むことが出来る水蒸気の量は、その気温によって限界が違うのです。

「濡れたタオルを干す」ということは、「洗濯物を乾かす」ようなものです。ですから、その効果をより高めたい場合は、濡れたタオル一枚だけではなく、洗濯物を部屋干しすることでも試みることが出来るでしょう。コップに入った水分がいきなり空気中に拡散するわけではないように、何か濡れたものを「干す」と徐々にそれは乾いていきます。それはなるべく感覚をあけて干した方がより効果が高いですし、空気が循環している場所で試みる方がいい結果を生み出すでしょう。なによりも空気と触れ合う「面積」を広く確保することが大切です。濡れた状態で折りたたんだものを放置しても、中の方は全然乾かないことは当然予想がつきます。

濡れタオルで「乾燥」を撃退しようという場合は、「どうやったら洗濯物はよく乾くのか」ということを考えればより効果が高くなります。室内で、短時間で、いかにして選択したものを乾かすのかということを考え、それを実践するだけで、部屋の湿度は段違いに変わってくるものです。「加湿器」のように即効性はないものの、何も行わないことに比べると格段に状況が改善されるはずです。加湿器は電気を用いて水分を蒸発させるものですが、水代などは気にならなくても電気代は気になるものです。そのような理由で加湿器を導入しない方は、ぜひ一度検討してみていただきたいのがこの「濡れタオル」を用いた方法です。

夜にしか洗濯が出来ず、干すのも必然的に夜になってしまうような方、昼間は働いていて家にいないという単身の方は、この濡れタオル法だけ実践していれば、乾燥とは無縁の居住環境を手に入れられるかもしれません。乾燥は肌の大敵、健康の大敵、人の大敵ですが、洗濯物にとっては「乾きやすい好条件」です。乾燥した状態を利用して、効率良く家事を進めるのも良いのではないでしょうか。一度試してみることをオススメします。

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