加湿器の選び方

大きな部屋を一気に加湿できるような加湿器はありません。どんなにパワフルでも、せいぜい10畳の部屋で精一杯です。それも部屋の中でうまく空気を対流させておけばの話ですし、部屋が均一に温められている必要があります。また、カーテンや絨毯などの近くで使用すると、水分がそちらに吸収されてしまうこともありますから、設置場所にも気を配りましょう。

そのようなことを念頭に置いた上で、加湿器を選ぶとすると、もっとも良い効果が得られるのは水を「加熱沸騰させるタイプ」の加湿器です。熱いスチームとして水分を排出するタイプのものです。超音波式のものに比べて、もともと「気体」になっている水分を排出してくれるからです。また、部屋の保温にも一役買うことができるでしょう。そのような加熱するタイプの加湿器は、もっとも効率良く水分を空気に馴染ませることができます。超音波式の加湿器では水の粒子を空気中に放出し、いわば自然蒸発を待つだけのことでしかできないのですが、沸騰タイプのものは私たちの期待している「水蒸気」を発生させることができるのです。

沸騰式の加湿器は超音波式のものに比べるとデザインなどの自由があまり利かないようです。ですからインテリアとして部屋を彩るようなものは少ないのですが、しっかりと加湿することができるでしょう。超音場式のものであればその価格はかなり抑えることが出来るのですが、沸騰式のものはある程度の価格のものもあります。ただ、その分「効果」は格段に違います。本気で部屋を加湿し、快適に暮らしたいのであれば、超音波式のものよりも沸騰式の加湿器を選ぶべきです。

沸騰式の加湿器にも、アロマ機能を持つものはあります。ただ、この場合は水とともにタンクに入れるわけにはいかないので、蒸気の噴出口にアロマオイルの受け口を設け、そこに垂らしておくことが多いようです。するとスチームとともにほのかに香りが立ち上ります。

また、沸騰式の加湿器から発せられる蒸気は高い温度の空気とともに排出されます。空気は温度が高いと上昇しますから、排出された水蒸気は上へ上へと登るのです。これが超音波式の加湿器であれば、自ら対流を引き起こすわけではないので、あらかじめ空気の流れを作っておかなければそのまま水の粒子の重さで下に落ちてしまうのです。沸騰式の加湿器であれば、熱い蒸気は上昇します。エアコンなどで部屋の空気を循環させておけば、発生させた蒸気がそれに乗り、部屋の隅々まで行き渡るということになります。部屋を加湿するためには沸騰式の加湿器がベストなのです。

また、昔ながらの石油ストーブなどを利用できる環境であり、それらを用いているような家庭では、改めて加湿器を購入する必要はないかもしれません。石油ストーブの上に「やかん」がおけるようになっていないでしょうか。そこに水を入れたやかんを置いておくだけで、段違いの加湿効果となります。部屋を暖めながら水を温め、蒸発させるということです。ストーブで発生する熱エネルギーを余すところ無く利用する方法は、昔ながらではありますが確実な効果をもたらすでしょう。部屋の加熱と加湿が同時に行えるこの方法は、だいぶ昔から実践されているものではありますが、もっとも効果的でもあったのです。

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