室温と比例しなければ意味がないということ

部屋を加湿する際、絶対に度外視できないことがあります。それが部屋の気温です。日本の冬が乾燥しているのは、シベリア寒気団が日本海側から太平洋側に至るまでに「雪」として水分を放出してしまうからではあるのですが、そもそも「大気」はその温度によって含むことが出来る水分の量に限りがあります。湿度とは、その大気がその温度中で含むことが出来る湿度のうち、何パーセント含んでいるのか、ということを指し示すことが多いです。つまり、湿度100パーセントでは「その気温の空気中に含むことができる」水蒸気の量の限界に至っているということになります。

大気が含むことが出来る水蒸気の量、それは大気の「温度」に比例して大きくなります。つまり、空気を暖めないと多くの水分を含ませることは出来ないということになるのです。ですから、「加湿」するにしてもまずは空気を温めておく必要があります。そうしなければ大気に水分をうまく含ませることができません。つまり、「加湿」出来ないということになります。空気が冷えきっていれば、いくら加湿しても無駄だということになります。空気中にうまく水分がなじまず、部屋は乾燥したままになります。

気温が低いと含むことができる水分に限りがあるので、当然ながら冬の時期は慢性的に乾燥することになります。ですから、外気は必然的に乾燥しています。水分を放出してしまったシベリア寒気団の影響だけではなく、もともとが「冬は乾燥する」ということになるのです。外気と完全にシャットアウトすることができない室内でもその影響は当然受けます。また、一度加湿したとしても、気温が下がってしまえば再び空気は乾燥します。常に潤った状態に整えたい場合は、室温をある程度温めておく必要があるのです。

そこで「暖房」を使うと思うのですが、実はここにも「落とし穴」があります。暖房を使うと空気はさらに乾燥していきます。加湿するために部屋を暖めているのに、そのせいで乾燥してしまうのです。これではイタチごっこです。加湿したいから暖房を入れる、すると部屋は乾燥し、結果なにも変わらないということです。

空気の水分許容量は、数度の違いで大きなものになります。ですから、ポイントは部屋を暖めすぎないことです。暖房もある程度の温度に留め、加湿の方に重きをおくと、良いバランスが得られるのではないでしょうか。部屋がある程度暖められ、ある程度加湿できれば、体感温度は劇的に変化します。「寒い」という感覚のなかには「乾燥している」という感覚も含まれていて、総括的に「寒い」と感じるからです。「湯気がありがたい」という感覚は、「乾燥しているから」というわけです。

部屋の加熱と加湿は、良いバランスをとらなければ効果は得られません。湿度計などを設置した室内で試してみるといいのですが、暖房をフル回転させた部屋ではあまり加湿できません。厳しい冬を快適に過ごすためには、極端であってはいけません。何事も「バランス」が大切です。調度良い保温、調度良い加湿で、快適な冬を過ごすために、少しそのようなことに気を配ってみてもいいのではないでしょうか。そうすると、一気に肌の調子も変わってくるはずです。

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